PrEPを利用される方、
PrEPの利用を検討されている方へ

千葉大学医学部附属病院 感染制御部・感染症内科 准教授
谷口 俊文 先生

このウェブサイトは、HIV（ヒト免疫不全ウイルス）感染を予防するためにツルバダ配合錠による曝露（ばくろ）前予防（PrEP：プレップ）を利用される方、PrEPの利用を検討されている方に向けて作成されています。
PrEPとは、性交渉などHIV感染リスクのある行為の前に抗HIV薬を内服し、HIVに感染するリスクを減らす感染予防方法です。
日本では2024年8月にツルバダ配合錠が曝露前予防薬として認可されるまで、PrEPに利用できる薬はありませんでした。ツルバダ配合錠はHIVに感染した方の治療にも使われる薬ですが、一定の条件を満たす方は1日1回1錠の服用を続けることでHIVの感染予防に役立ちます。
安全かつ十分な予防効果を得るためには、PrEPを正しく服用し、継続することが大切です。
PrEPの開始にあたっては、必ず事前に医療機関を受診し、HIVの検査や性感染症などの検査を受けてください。PrEPを開始した後もHIVの検査や性感染症などの検査を受ける必要があります。
また、PrEPを開始した後も、医師や看護師、薬剤師の説明をよく聞き、定期的に検査を受けてください。 ツルバダ配合錠の服用についてわからないこと、不安なことがあれば、ささいなことでも医師、看護師、薬剤師に相談してください。

PrEPとはどんなもの？

HIVに感染（曝露）する前に、予防として抗HIV薬を飲むことを
曝露前予防（Pre-exposure prophylaxis）といい、
頭文字をとって「PrEP（プレップ）」と呼びます1。

PrEPを決められたスケジュール通りに正しく利用すれば、
性交渉によるHIV感染リスクを大幅に減らすことができます。
しかし、PrEPを正しく利用しないと、HIV感染を予防する効果が低下し、
抗HIV薬に耐性を持つウイルスが生じる可能性も出てきます1。

PrEPは、性交渉を行うすべての成人が知っておくことが望ましい知識です1。

予防と治療を継続し、U＝U達成を目指しましょう

HIVに感染した方が、効果的なHIV治療を継続し、
血液中のHIVウイルス量を検出限界値未満に6ヵ月以上抑えられていれば、
性交渉によって他の人にHIVを感染させるリスクはありません2。

これを
検出限界値未満（Undetectable）＝感染しない（Untransmittable）
で「U=U」といいます3-5。

効果的な治療を続けていれば、性的パートナーへのHIV感染を防ぐことができますが、
HIVウイルス量が検出限界値未満になるには治療開始から約6ヵ月かかります2。

U=U Japan Project．U=Uって何？. https://hiv-uujapan.org/summary/ 2024/07/17閲覧，
山口正純.: JaNP+ News Letter 2019 No.40
https://www.janpplus.jp/uploads/NL_vol40_web.pdf 2024/07/17閲覧より改変

このため、HIV陽性のパートナーが抗HIV薬で治療を開始してから約12ヵ月間はPrEPによる予防が必要になることがあります。

そのほか、何らかの理由で

  • 抗HIV薬を正しく服用できなかった期間
  • 治療を中断している期間

はHIVウイルス量が検出限界値を超える可能性があるため、
HIV陽性のパートナーとの性交渉によってHIVに感染するリスクがあります。

HIV陽性のパートナーのHIVウイルス量が検出限界値未満であっても、

  • パートナー以外との性交渉の可能性がある
  • 性交渉以外にもHIVに感染する機会がある

などの場合、HIV感染を予防するためにPrEPの利用を検討します。

  1. 令和2～4年度厚生労働省科学研究費補助金（エイズ対策政策研究事業） 「HIV感染症の曝露前及び
    曝露後の予防投薬の提供体制の整備に資する研究」 研究分担者：生島嗣、 研究代表者：水島大輔．日本におけるHIV感染予防のための曝露前予防（PrEP）＜利用者ガイド＞ 第1版.
    https://jaids.jp/wpsystem/wp-content/uploads/2022/11/uder-guide-matome-1Pver.pdf 2024/07/17閲覧
  2. National Institutes of Health. 10 Things to Know About HIV Suppression（2024年2月8日）.
    https://www.niaid.nih.gov/diseases-conditions/10-things-know-about-hiv-suppression 2024/07/17閲覧
  3. Rodger AJ, et al.: JAMA 2016; 316（2）: 171-181.
    著者にギリアド・サイエンシズ社より支援を受けている者が含まれます。
  4. Rodger AJ, et al.: Lancet 2019; 393（10189）: 2428-2438.
    本試験はギリアド・サイエンシズ社より支援を受けています。著者にギリアド・サイエンシズ社より支援を受けている者が含まれます。
  5. Bavinton BR, et al.: Lancet HIV 2018; 5（8）: e438-e447.
    著者にギリアド・サイエンシズ社より支援を受けている者が含まれます。

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